![]() | 中川 伸 |
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ハイレゾと言う言葉は多く使われるようになってきていますが、実際にそれを検証をしようとすると、そのような測定器は非常に少ないか、有っても高価です。しかも、簡単に持ち運びが可能な物でもありません。そこで必要性を感じ、きちっとした信号源を先ずは作ることにしました。100kHz以上を出せるホワイトノイズとピンクノイズの発生噐です。
最初は、熱雑音を使ったり、ツェナーダイオードの雑音を使ったりとかしましたが、このサイズ(115×69×28mm)に入れようとすると、低域のデカップリングコンデンサーが大きく必要で、さもないとモーターボティングを起こるのです。そこで、M系列の擬似ランダムパルスによるノイズ発生器を作ることにしました。そのやり方は、ガロアとフィボナッチの方法が知られています。40年ほど前に16ビットのガロアでやったことがあるので、今回は24ビットのフィボナッチにしました。
約2MHz相当のパルスを24ビットで動作させました。擬似ランダムの周期が1秒位だと回転音の様な音に聞こえますが、今回の10秒位になると、もう回転音には聴こえません。最初はCMOSのロジックで設計しましたが、サイズが増すので、マイコンを使ってプログラムによって作ることにしました。使ったマイコンは電源の立ち上がり条件で、たまに起動不良もあったのですが、それも解決し、出来上がった物はとても順調です。
スペクトラムアナライザーで測ると約200kHzまでフラットになっているのが確認できます。ピンクノイズ化はシミュレーターで調整しながら合わせましたが、これもきれいなピンクスペクトルになっていることが分かります。100kHz帯域幅のオーディオ用スペクトラムアナライザーは今では割と入手しやすくなってきています。これでハイレゾの確かな測定が手軽にできることになります。
実は、このピンクノイズはオーディオ装置のエージング信号として最も好ましいと期待をしています。経験的にスピーカーやカートリッジは明らかにエージングの効果が有ります。ハイレゾ機器のエージングは20kHz以上が有った方がより好ましいと考えるのは自然です。そのため、長時間動作のためにACアダプターとRCAから標準プラグたミニプラグへ変換アダプタやRCAの2分配アダプタを付属しました。測ってみて分かったことですが、スイープ信号で測るのは高域側で見ずらい結果になります。ところがランダムノイズで測って500回位を平均化すればかなり見やすくなります。FFTに連動するチャープ信号やランダムノイズを平均化して表示するのも、とっても見やすくて、それなりに細かい所も見えるので優れた方法だと思います。
スマホにaudio toolsやFFT waveを入れて、このハイレゾ・ノイザーを使ってみると、スマホでの上限は20kHzまでですが、それにしてもいろんなことがよく分かるので重宝しています。30台のロットなので、売れ行き次第によってはそれで終了する可能性が有るので、税込み60,000円付近を予定していますので、気になる方はご予約をお願いいたします。
また、ハイレゾを音響的に調べるには、優れたマイクロフォンが必要になりますが、これについても100kHzを目標に測定可能なマイクを作ろうとしております。フィデリックスにはB&Kの測定マイク4135があるので、20Hzから120kHzまでが±2dBで測定できる環境が揃っています。スーパーツイーターのパミーナもこれによって出来上がりました。(2025年9月29日)